MENU

IGPIシンガポール
オフィスプロジェクト

~東南アジア進出の拠点として動き出した、多国籍チーム~

坂田 幸樹
パートナー、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒

1人の社員の情熱を、後押しする会社。

ここ5年ほどの間、メーカーのみならず、外食やIT関連、商社など数々のグローバル企業の進出が増えている東南アジア。かつてはモノを安く製造できる“生産地”として注目を集めていたこのエリアも、一人当たりのGDPが上がったことで、企業にとって“消費地”としても魅力的なエリアへと発展を遂げている。IGPIにも、東南アジアが関係する支援依頼が増えてきており、坂田は東南アジアでの拠点の必要性を強く感じていた。

「当時、IGPIには海外オフィスが中国にしかありませんでした。よりグローバルにクライアントの支援をするためには次の海外展開が必要だろうと会社に訴えて行ったんです。ターゲットは東南アジア、中でもビジネスや物流のハブとして中心地となっているシンガポールに拠点を作ろうと、会社の説得に向けて現地法人設立の準備を上司と共に始めました。」

坂田が最初に現地の視察へ出かけたのが2013年4月で、設立に至ったのが2013年7月。要した時間わずか3か月、会社を説得するための役員会は2回という、ハイスピードプロジェクトとなった。

「現地法人を立ち上げた一番の目的は、東南アジアでのネットワークを構築し、現地でプロジェクトを受注及び実行ができるようになることでした。海外オフィスの立ち上げと言うと大規模なプロジェクトに聞こえますが、本当に必要なプランであることさえ説得できれば、メンバーがたったの数人であっても、その動きを承認し、後押ししてくれる会社なんです。」


クライアントは、とにかく東南アジアに進出したい。

立ち上げ当初のオフィスは、コストを抑えるために窓もない物件だった。そこを拠点に、坂田は精力的に動いた。セミナーなどの機会を活かし、徐々にネットワークを拡げると、日本の大手企業のアジア本社の役員と知り合い、半年も経たないうちに現地での初受注を獲得。更なるクライアントへの支援拡大・拡充を目指し、ネットワークをアジア全域へと拡げていった。その中で受注したのが、東南アジア進出を目指す井上特殊鋼株式会社のコンサルティングプロジェクトだ。

「一言で表すと、鉄関連なら何でも扱う企業です。商社としての機能もありますが、製造部門もあります。当時、国内では利益を増やしていましたが、国内市場の伸びには限界があるため、海外展開を模索していました。そこで、海外展開に実績のあるコンサルティング・ファームを探していたのです。ご連絡を頂き、まずは大阪にある本社を訪ねたのですが、その時は『東南アジアへの進出を検討する』ということ以外は特に決まっていませんでした。」


どこで、何を、どうすることで、勝負するか。

“鉄”と言っても、そのビジネス領域は実に幅広い。鉄鉱石から鉄を造る、鉄を叩いて強くする、形を作る、加工する。その中のどの段階でビジネスをするのか、さらにはメーカーとして製造するべきか、商社として調達力や提案力を発揮して価値を生み出すべきかというビジネスモデルの問題。そして、マーケットはどこを狙うのか。現地の実情と照らし合わせながら、全ての可能性を探り、最も成果が期待できるビジネスモデルを見つけ出していく。坂田率いるシンガポールチームによる仮説と検証を繰り返す日々が始まった。

「仮説というのは、その時点で持ち合わせる情報を基に考えられる最適な解です。タイ、ベトナム、インドネシアを中心にマーケットとしての可能性を探っていきました。重要なのは、その後の検証です。実際、現地の企業は“鉄”をどの状態で、どこから、どれくらい調達しているのか。それまでに築いたネットワークを活用し、鉄の加工をしている企業、鉄を大量に買っている建設メーカーなどでヒアリングをして回りました。その中で、例えば現地の外資系企業に『全部のパーツを本国から調達しているけど、できれば現地で調達したい』というニーズがあることが分かったら、今度は井上特殊鋼が提携できそうなサプライヤーのポテンシャルを探る。そういった地道な調査による検証を積み重ねて、現地企業の課題を解決できて、かつ経済性が成り立つビジネスモデルを探っていきました。」


最後の一社で探り当てた、ビジネスモデル。

マーケットにおけるニーズはもちろん、現地で提携するパートナーの選定までも含めたビジネスモデルの検証は、4か月に及んだ。その間、訪問した企業は百数十社。最終的には、タイで商社を設立することになったのだが、最後の一社に出会うまで、実現可能性の高いビジネスモデルは見えていなかった。

「タイには、部品を提供するサプライヤーが多く、買い手の企業は新しいプロジェクトが動くたびにサプライヤーを選定しなくてはいけないという現地の課題が見えたんです。上昇するタイの賃金も後押しし、これからは両者を繋ぐ商社のニーズが増えるだろうと結論付け、“調達し、売ること”に特化するビジネスに決めました。」

結果的に、最後に訪問した現地メーカーとは合弁事業を組み、戦略的パートナーとして提携することとなった。しかし、この企業は数十社のグループ会社を持ちながら非上場のオーナー企業。その価値や信頼性を正確に審査するには、専門的なスキルが欠かせなかった。

「このプロジェクトが開始した当初からシンガポールオフィスでは既に現地の外国人社員が活躍し始めていました。採用基準は、何か一つ特化したスキルがあること。特に難易度の高かったこのプロジェクトにおける提携先の評価においては、新メンバーが重要な役割を果たしてくれました。」


成長する多国籍チーム。

坂田1人から始めたシンガポールオフィスのメンバーも、この3年間で8人にまで拡大。そのうち坂田以外の全員が現地採用だ。

「マレーシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール。外国籍のメンバーは出身国も異なりますが、法律や財務など、専門分野もそれぞれです。クライアントの経営陣にとって本当の意味での相談相手になるためには、戦略を描くだけでなく、実行段階でのリスクなど、全ての領域に対応できるようなチームでなくてはいけませんから。オフィスの体制が整うにしたがって、現地で行っている仕事の領域も、戦略立案からM&Aまで拡大してきました。」

チームでの会話は、もちろん英語。しかし、ツールとしての言語という壁を超えた先にこそ、多国籍集団の難しさと、強さがある。

「お互い話している言葉は英語でも、文化や背景が異なるため実際のコミュニケーションは難しいです。日本人同士の“あうんの呼吸”は期待できませんし、仕事への考え方も違うので、プロジェクトごとのルールを明確に決めなくてはいけません。ただし、それは決められたプロセスを着実に実行することが求められる組織においては余計な手間になりますが、常に新しいプロジェクトに挑むシンガポールオフィスのような組織においては、なんとなく仕事を進めるより、その都度ベストな方法をとれるという意味で強みになっていると感じます。」


世界へ進出するIGPIの拠点に。

2015年、井上特殊鋼は現地法人を設立した。タイでの新しいビジネスは、順調に動き出しているという。

「仮説の検証においては、社員の方々も私たちに同行して多くの現地企業を回ってくださいました。『クライアント対コンサルティング・ファーム』という壁をなくし、同じ目的に向かう当事者同士として一体になれるプロジェクトほど、成果に繋がりやすいと実感していますし、それを実現できるのがIGPIの強みです。」

今では東南アジア全域をカバーする戦略的な拠点となったシンガポールオフィス。当案件でも、日本で採用された期待の新卒社員が、入社1か月あまりでアサインされ、毎月、タイやベトナムに出張しながら契約交渉の通訳や資料作成を担当し、IGPI全体の海外進出の拠点としても注目度を増している。

Project一覧へ戻る

PAGE TOP