事例

グローバルリスクとルール・メイキング [コンサルティング]

地政学・グリーン。グローバルリスクの中で、事業と組織を変革させる

ウクライナ戦争・米中対立などの地政学リスクや、脱炭素・人権などサステナビリティ対応の要請は、事業経営の根本に変革を迫る。IGPIは、こうしたリスクの中を生き抜くだけでなく、新たな世界観での競争力を再構築する企業への支援を行っている。

誰とともに、何に挑んだのか?
事業を根本から揺るがすリスクに目を向ける

IGPIは、グローバル企業のクライアントに、経営の問題としてのインテリジェンス機能、すなわち国際情勢に係る外部環境リスクの情報収集・分析機能の強化を支援している。通常、事業を行ううえでリスクを考慮するのは当然である。リスク管理・調査部門や在外拠点がそれを担うことも多い。ではなぜ、IGPIはそれを「経営の問題」として捉えて支援したのか?

それは、地政学やESGなどのグローバルリスクが、事業を根本から覆す可能性が高まっているからだ。さらに、それらはこれまで直接的に事業に関係するとは考えられてこなかったケースが多い。このため、例えば間接部門の現場が「台湾海峡の安全保障や人権問題が高リスクである」「それに備えてサプライチェーンや事業のあり方を根本から考え直すべき」と主張しても、経営層や事業の現場からすれば「で、どうすればいいの?」「そんなこと言われても、目の前の事業で精一杯」という反応で終わってしまう。リスクの見方を社内で共有できず、それゆえ先を見据えた議論や意思決定ができない状態にあったのだ。

このため、クライアント企業とIGPIは、「リスク分析を事業に繋げ、経営の意思決定を促し、部門横断的に足並みを揃えて実行させる」組織や機能をいかにつくるか、という問題に取り組んだ。

非連続な変化に向けた取組み
リスクを可視化し変革を実行に移す「組織」をつくる

ここでIGPIがこだわったのは、①経営に近い部門が「自前で」分析できるようになること、②リスクとそのインパクトを事業計画に反映し意思決定ができるようにすること、である。

①の分析は、外部専門家に単発的に行わせるのでは十分でないケースが多い。グローバル政治・経済の動向やリスクは常に動的であり(発生確率・インパクトが日々移り変わる)、また、どの事業に・どの経路で影響を与えるかは企業によって異なるからだ。したがってIGPIは、あくまでクライアント企業自身で継続的にリスク分析を行える体制を構築することが重要と考えた。企画部門の責任者・担当者双方と、リスクトレンドや対処方針の議論を長期にわたり行う。「優先して収集すべきリスク情報は何か?」「サプライチェーンのどこが機能不全になるか?」「在外拠点の安全をどう確保するか?」など、ケーススタディも含めて議論し、「自前の」分析能力を高めていった。

②は、リスクを事業や経営に繋げるうえで極めて重要である。起こり得るリスクの時間軸・蓋然性・損失規模はどうか?これを数字で語ることによって、経営層・事業部・間接部門を交えて対応策や優先順位を議論し意思決定することができる。その結果、クライアント企業では、サプライチェーン再編の計画を描いたり、対投資家などへの一貫したコミュニケーションプランを策定する体制を整えつつある。

IGPIには地政学・サステナビリティ・諸外国の規制の幅広い知見と、リアル・緻密な事業計画を多数策定・実行してきた経験がある。これらを組み合わせ、リスクを洗い出し、重要度を評価し、打ち手を策定し、意思決定に繋げるご支援を行うことが可能である。

経営・経済の歴史へのインパクト
自らの事業をグローバルなルールに仕立てる

また、クライアント企業は、脱炭素化によって既存事業の収益構造が変化するリスクが高いことから、新たな収益の柱を模索していた。IGPIは、グローバルリスクを事業機会として捉え、新たな事業を形作る支援も併せて行っている。

グリーン領域の新規事業というと、現時点で脱炭素関連のルールが定まっていないがゆえに小規模になりがち、または前に進まなくなりがちである。この問題を越えるためにIGPIが固執するのは、自らの事業を国際的なデファクト・スタンダードとしてルールを形作るためにどうすべきか、ということである。

現状、脱炭素などの領域では、国際的に目指すゴールは明確ながらも、その達成に向けた詳細な枠組みや時間軸は、多くの事情によって揺れ動いている。こうした中、自ら脱炭素のサプライチェーンやエコシステムを構築するプレイヤーが出現すれば、そのモデルが国際ルールとなりうるし、そのような世界が現に形成されつつあると我々は見ている。

日本は官民問わず、国際的なルール・メイキングにおけるリーダーシップが弱いと指摘され続けている。こうした中、クライアント企業とIGPIは、事業の本質のルール・メイキングのリアリティに固執しつつづけ、自らの新たな事業がグローバル・スタンダードを形成することができるよう、日々戦いつづけている。

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