IGPI VOICE

NordicNinja VCで、「自分にしかできない」意思決定ができる人材へ

植田 大雅

NordicNinja VC

2020年11月入社

IGPIグループ

大学時からスタートアップで経験を積む

大学3年生の時、挑戦環境を求め、創業1年強のSaaSスタートアップReproで働き始めました。アプリ上のユーザー行動分析ツールのカスタマーサクセスチームの立ち上げに携わった後、同社にてアプリ運営会社にソリューション提供を行うコンサルティングチームに従事しました。大学を卒業する頃には入社当初10-20人程度だった従業員が200人規模に拡大しており、このまま会社に残ることも検討しましたが、更なる成長を求めて大手のコンサルティングファームに就職しました。

コンサルティングファームでは、大企業の一事業をプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)に売却する仕事を経験した後、タイの日系自動車メーカーと組み、東南アジアを対象にしたコネクテッドサービスを立ち上げました。この時、本当の意味で会社を動かすためには細かい部分を理解するだけでなく、全体を俯瞰する力が欠かせないと痛感し、新型コロナウイルスの影響で日本への帰国を余儀なくされたタイミングで、IGPIに入社することを決めました。

IGPIは、自ら投資業務や会社経営を行うなど、「経営」に対して真摯に向き合った事業を展開しています。また、少人数で最大価値を出せる案件に絞り、プロの経営人材が頭と体をフル活用してプロジェクトに取り組む環境と聞き、ここで自分を鍛えたいと考えました。

IGPIで学んだ投資家の視点

初めに挑んだのは日本の製造業の事業再生プロジェクトでした。グローバルニッチトップでしたが、業績が低迷し、キャッシュも底をつきかけていました。応急措置として資金調達をする一方、赤字の元凶となっている事業を突き止め、それらを売却し、持続的に成長できる体制に整えました。事業再生に携わった企業が、しばらく経って素晴らしい企業に変わっているのを見ると、自分たちが頭をひねり、苦心して導き出した戦略が正しかったと感じることができ、とても嬉しく、やりがいを感じます。

その他には、PEファンドが買収したベーカリーチェーンのバリューアップや他の製造業のカーブアウト・事業再生にも携わりました。これらのプロジェクトでは、それぞれ異なるファンドと一緒に仕事をし、その過程で、各ファンドがその企業に注目した理由や企業価値を上げる経営手法など、様々な角度から「投資家の視点」を学ぶことができました。一般的にコンサルティングは外部の人間として客観的に企業を見ます。これに対し、投資家は金銭的なリスクを自らが負っている分、強いプレッシャーがあることも学びました。

1年程度このような経験をした2021年10月、IGPI共同経営者の塩野誠さんに「海外に興味はあるか」と声をかけてもらいました。海外と聞いて、シンガポールや上海への転勤を思い浮かべましたが、塩野さんからの打診は「フィンランド」でした。予想もしていない場所で驚きましたが、もちろんこのチャンスを逃すはずがありません。「行きます」と1秒で即答しました。フィンランドは、北欧・バルト地域を対象にしたベンチャーキャピタルファンド「NordicNinja VC」の拠点で、そこに参画することになったのです。この時、スティーブジョブズの名言「Connecting the dots」が頭に浮かびました。大学時代に寸暇を惜しまず熱中したスタートアップでの経験、IGPIで投資ファンドと仕事をした経験を活かすことができるまたとない機会で、これまでの仕事を評価してもらったように感じ、その期待に応えたいと意欲を燃やしています。

起業家精神旺盛な北欧・バルト地域に忍者見参

「NordicNinja VC」が投資対象としている北欧・バルト地域は、日本の首都圏と同じ3300万人ほどの人口しかいませんが、50社を超えるユニコーン企業が生み出されています。この地域は起業家精神がとても高く、当たり前のように皆が起業して、成功したり、失敗したりしています。さらに、これらの国々は小国ゆえに、起業時からグローバル展開を前提に会社を作り、目線を下げずに運営する志の高さが特徴です。

また、エストニアの電子政府が有名なとおり、北欧バルト地域では、スマホひとつで確定申告や住民登録ができるなど、あらゆる公共サービスがデジタルで完結しています。国民の環境意識が高いのも特徴で、フィンランドが世界に先駆けて炭素税を導入し、スウェーデンやノルウェーなどにも拡大しています。ここ数年の傾向としては、脱炭素やジェンダーダイバーシティ、人権保護などESG分野で、優秀な人材が集まってきています。

日本でもようやくスタートアップ支援へ向けて政府が動き出していますが、海外と比べてスタートアップ投資をめぐる税制や法務などの制度面の壁が高くて厚いので、このままでは日本がガラパゴス化してしまうという危機感があります。闇雲にスタートアップに資金を出しても意味はなく、高い志を持った正しい企業に正しく資金を流すことが重要です。正しいスタートアップ投資を通じて、日本企業と北欧・バルト地域を繋ぎ、社会の変革と経済の活性化を促していきたいと考えています。

300億円規模の2号ファンド組成し、投資対象地域も拡大

日系VCとして、日本人も構成員となる投資委員会が欧州に拠点を持って活動しているファンドは他になく、NordicNinjaはこの分野のパイオニアです。北欧スタートアップの知見を日本企業に繋ぐことはもちろん、この地域で「Japan」の存在感を出していきたいと考えています。2019年にスタートした1号ファンドでは、ホンダ、オムロン、パナソニックに参画いただき、100百万ユーロ規模で組成しました。これに続き23年には、多数の日本の戦略投資家及び欧州の機関投資家に参画いただき200百万ユーロ(インタビュー時のレートで約300億円)規模を目指す2号ファンドを立ち上げました。北欧・バルト地域に加えて、イギリス、アイルランド、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクなど投資対象地域を広げ、サステナブル社会への変革及び社会のデジタルインフラ構築をテーマに、DXやサステナビリティ、脱炭素、ウェルビーイングなど、ESG課題に積極的に取り組む企業へ投資をしていきます。

唯一無二な経験を持つユニークな人材を目指す

生成AIが社会に組み込まれた時代には、単に知識を得るよりも、ありふれた情報の中で自らの経験をもとにどう意思決定するかが問われます。失敗も含めて、その人の経験から得られた教訓を反芻しながら意思決定することで、判断の的確さや精度を高めることができます。つまり、人は経験したことの積み重ねによってこそ、より適切な意思決定ができるのです。私のように、欧州で活動する唯一の日系VCを20代で経験した人は他にはいないはずなので、この貴重なチャンスを生かし、「自分だけ」の経験を豊富に備えたユニークな人物になりたいです。

IGPIはローカルからグローバルまで活躍できる場所も豊富で、プロジェクトの幅も広く、さまざまな経験を提供できるプラットフォームです。自分が本気で打ち込めるテーマを見つけるために使い倒し、人と違うユニークな経験を楽しんでもらいたいです。

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