IGPI VOICE

製薬会社を立ち上げ、幅広い経営課題に対峙する

富岡 さやか

太陽ホールディングス株式会社 執行役員 経営企画室長

2009年6月入社

アルムナイ

正論ではない勝負を求めて入社、身体で覚えた経営ノウハウ

「ジャンケンが強い人を採用したい」と突拍子もないことを言う面接官のキャラクターが印象に残りIGPIに入社しました。新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し5年ほど経った頃、新卒社員は一度外で経験を積むことも推奨されていたため外でチャレンジできる環境を探していました。よりよいコンサルタントになるために当時案件として多く携わっていたヘルスケア業界に転職しようと製薬会社を探していましたが、ヘッドハンターの方から他の企業も見た方が良いとアドバイスされ、1社だけ紹介してもらったのがIGPIでした。面接を経て、正論だけではない方法を学ぶことで自身の幅を広げるほうがいいと思い、入社を決めました。当時は3年くらいでマッキンゼーに戻るつもりだったので、まさか戻らず9年間も過ごすとは思いもしませんでした。

IGPIに入社後は様々な経験をしましたが、一番印象的なのは、ベンチャー企業に出向しファンド組成に携わったことです。IGPIに入社するまでは大企業向けの戦略コンサルティングの仕事が多く、月次の資金繰りに頭を悩ませる仕事になるとは全く想像もしていませんでしたし、ファンドを組成するイメージも全くありませんでした。IGPIは自ら投資する機能も持ちながら、経営に直接関与するビジネスモデルなので、自分たちで投資をしながら、資金調達をしたり、契約書をチェックしたり、従業員の雇用形態を検討したりと、法律や労務、会計など、これまで全く触れることがなかった経営のノウハウを身体で覚えることができ、それが現在の様々な業務の基盤となっています。

「製薬会社をつくる」、千載一遇の機会を逃さない

IGPIからの出向先にて、太陽ホールディングス(HD)の新規事業として製薬会社の太陽ファルマに立ち上げ直後に支援したことがきっかけで、現在の職務についています。一般的に「製薬会社」を作る事例として多いのは、持っているシーズの研究開発を続け、自ら新薬を完成させて販売する創薬系バイオベンチャーです。一方で太陽HDが立ち上げた太陽ファルマは長期収載品の製造販売承認譲渡を受けるというユニークなビジネスモデルでした。

諸事情により出向先はその支援を引き上げることになったのですが、ヘルスケア業界でコンサルティングに携わってきた身として「製薬会社をつくる」というまたとない機会かつ、当時の売上高500億円にも満たない会社が、200億円以上を投資して製薬会社をつくるという大勝負ができる環境に心惹かれ、IGPIを卒業して挑戦することに決めました。

励みになった「田舎の駅長さんは1人で全部できる」という言葉

仕事をしていてよく思い出すのは、IGPIグループ会長の冨山和彦さんに言われた「田舎の駅長さんは1人で全部できるのだから」という言葉です。
例えば、2019年秋、大手製薬会社の第一三共グループから高槻工場を継承し、医薬品の製造受託会社である太陽ファルマテックを設立した際にも常に向き合っていた言葉でした。「1人で全部できる」というのは全部を自分だけでやるということでもなく、「どうやったらできるのか」を責任もって考え続けることであり、価値評価や入札、譲渡契約の締結、従業員の転籍、資産譲渡などプロジェクトリーダーとして全体統括をする中でも、必要なときに必要な力を集めてくることが最重要事項でした。このプロジェクトでも自分自身の経験や知識はもちろんですが、それだけでは通用せず専門家や社内メンバー、譲渡元の皆様のご協力を得ながら、「田舎の駅長さん」のように「できる」と信じ、関係者の力を集め、プロジェクトを推進しました。

2020年4月からは経営企画室長として、グループ全体の財務、IR、ガバナンス、M&Aなどを担当しています。業務の型が決まっていない仕事が多いので、状況に応じて的確な意思決定をしていかなければなりません。また、上場企業ですからIRを通じて当社の株価を上げることも重要です。まずはIGPI時代の投資ファンドでの経験を、投資家との関係構築に活かしたいと考えています。

経営人材に必要なことは「経営の幅広さ」に対応する所作

私がこれまでの経験の中で身に染みて感じるのは、「経営は幅広い」ということです。IGPIで身に付けたことは、経営のある一部についてアドバイスできる普通のコンサルタントとしてのノウハウではなく、「田舎の駅長さん」のように何にでも対応できる経営人材としての所作です。会社のステージによって、資金繰りが大事だったり、新規事業の意思決定について社外取締役に理解してもらうことが重要だったりと、直面する課題は様々なのですが、IGPIでは、ベンチャーから上場会社まで様々なステージの企業課題と対峙することができます。投資家の目線で企業を見る力を磨くこともできます。普通の事業会社では何度も部署異動をしなくては経験できないことを次々と短期間で経験することができることが、IGPIの魅力だと思います。

また、私はIGPIに在職中に二人の子供たちの産休育休を取得しました。当時は「保育園落ちた」の時代でしたので、思った通りに保育園に入れず、日本は私の復職を拒むのかと絶望した夜もありましたが、あの時もIGPIをやめようとは全く思いませんでした。その後、無事保育園にも入園でき、現在子供たちは小学生です。正直、仕事も子供も両立させるとなると様々な苦労がありますが、「できない」ではなく「どうやったらできるのか」を常に考えながら、マルチタスクをなんとかこなせているのも、IGPI培った思考力や推進力、プロジェクトマネジメントの経験と無縁ではないと思っています。たとえ大変そうに見えても、チャレンジしたいと思える環境がIGPIにはあります。

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