知見

[両利きの経営]

ターンアラウンド文脈の「深化」 ── 不確実性の時代に、稼ぐ力を取り戻す設計図


玉木 彰
経営共創基盤(IGPI)マネージングディレクター
IGPI グループ共同経営者

和田 拓也
経営共創基盤(IGPI)シニアマネジャー
深化と探索の「両利きの経営」は、足元の「稼ぐ力」なしには実現できない。これが弱まり、回復が必要になった状態をターンアラウンド局面と呼ぶ。
そして、地政学リスクや技術進化の加速など、競争力を左右する前提条件が増えた「不確実性の時代」にあって、ターンアラウンドの難易度は確実に高まっている。これらの前提条件を個別の事象ではなく、政治・経済・テクノロジー・社会文化の相互作用から発現する「ダイナミックな環境変化」として捉え直すことが重要である。
本稿では、事業責任・経営責任を有する意思決定者が、平時から健全な危機感を持ち、有事が顕在化する前に兆候をつかみ、適切な初動を切るための論点と順番を整理する。

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〈要約〉

1. ターンアラウンド局面の深化は「順番の設計」で考える
ターンアラウンド局面は往々にして、制約が多くかつ厳しい。また、時間経過とともにキャッシュや信用といった経営リソースが失われていくため、単発の施策ではなく、回復に至る一連の「設計」として考える必要がある。守るべき競争力を定義してから進める止血、利益の源泉を立て直す構造改革、そして再現性の確立という「順番」を一気通貫で設計し、やり切ることが、危機に瀕した企業の「深化」と言える。

2. 健全な危機感は「平時」に養われる
ターンアラウンド局面から回復し、稼ぐ力を取り戻すことのできる企業は、ターンアラウンド前の「平時」から、現状を適切に把握し、健全な危機感を持ち、早期に手を打つための耐性が構築できている。収益力の源泉、競争力の変化、各現場のインセンティブとそれに基づく組織構造の3つを可視化し、不都合な事実を早期に察知しなければならない。加えて健全な危機感を養い、先回りして手を打つ組織能力が重要である。

3. 危機の兆候は「質の変化」に現れる
ターンアラウンド局面の入り口にある企業では、数字の変化の前に「質の変化」が見られる。こうした危険信号は、事業の賞味期限切れ、ガバナンス不全と過度なリスク回避、組織の硬直化といった原因が絡み合った結果として生まれる。粗利率や営業利益などの数字が悪化してからでは打ち手が限られるため、質の変化を早期に掴まなければならない。

4. 4つのカギがターンアラウンドの成否を分ける
ターンアラウンド局面に陥った時に起きがちな失敗が、「何を守り、何を捨て、どの順番でやり切るか」が曖昧なまま改革を進め、意思決定の遅れや選択肢の減少を招くことである。こうした失敗を防ぐには、決断する覚悟、優先順位づけ、実行へ落としきる具体性、評価基準の明確化の4つがカギとなる。

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