IGPIプロフェッショナル紹介

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豊田 康一郎

ディレクター 2009年12月入社

ベンチャー投資から
事業再生まで『七人の侍』のごとく

「合理」だけでなく、「情理」も理解せよ

 今思えば、濁流に飲まれてもがくような日々でした。監査法人からIGPIに転職してまず痛感したのが、思考の違いです。
 会計士は、過去の情報を定められた監査手法に則って、会計基準に照らし合わせながら検証することが主な仕事です。一方、コンサルタントは収集された情報から論理的に仮説立案と検証をくり返し、未来の予測と意思決定を行います。そこには準拠するルールはありません。会計士的思考に慣れていた私は戸惑うばかり。
 さらに苦労したのが、現場に入り込んで人を動かすことでした。IGPIの大きな特長としてハンズオン(常駐)支援がありますが、その難しさを入社3ヶ月目にして身を以て知りました。当時、29歳だった私が経営改革のために赴いたのは創業100年を超える地方の老舗製造業。営業部は平均年齢60歳、営業スタイルも浪花節的。当然のことながら、「こんな若造に何ができるのか」という雰囲気。人を動かすどころか、話も聞いてくれない状況が続きました。
 試行錯誤するなかで取り組んだのは、どんなインセンティブなら、人や組織は動くのかを見極めること。「何を」言うかを重視するのか、それとも「誰が」なのか? 多くの日本企業がそうであるように、この企業も「誰が」言うかに重きを置いていました。そこで、私自身が「誰が」になるべく、営業部長と日々行動を共にし、営業部員ともカラオケに行くなど人間関係の構築に注力。組織の中にグッと入り込み、コミュニケーションを深めていくことで、ようやく改革は動き始めました。
 「合理」だけでなく、人を動かすための「情理」も理解せねばならない。これはIGPIで大切にしていることのひとつですが、まさにそれを学んだ1年間でした。

必要なのは、的確な診断と治療ができる「総合医」

 朝は再生フェーズにあるクライアントの経営会議に出席し叱咤激励すると、午後は自ら投資先として開拓したベンチャー企業に赴き、新規ビジネスに関してディスカッション。そして夜は、社内ミーティングでファイナンシャルアドバイザーを務めるM&Aのスキームを検討する―――。
 なんともめまぐるしい1日ですが、これが典型的な私の日常です。つねに複数の案件を担当し、1日のうちで何度も転職しているような感じ。好奇心旺盛な自分には理想的な働き方だと思っています。実現できたのも、IGPIがクライアント企業のニーズや状況に応じて、経営者としての総合的な視点をもちながら、全方位的に支援していくことをモットーとしているから。これは欧米発の伝統的なコンサルファームにはない魅力だと思います。
 一般に、欧米にはプロフェッショナル経営者が多いといわれています。つまり、課題に直面してもどのように対処すればよいかわかっているということです。たとえば、「喉が痛い」と感じたら、「これは風邪によるもの」と的確に診断でき、しかるべき専門医(プロフェッショナルファーム)に治療を委ねます。伝統的なプロフェッショナルファームが戦略、会計、法務など専門分野に特化しているのはそのためです。
 これに反し、多くの日本企業では喉が痛い原因を特定できず、風邪だと思い込んでいたら、実はほかの病気が原因だったということがよくあります。一刻も早く治療したいのに、病院をたらい回しにされる。そんな最悪のケースを避けるために必要なのは、すべての領域を見た上で的確な診断と治療ができる「総合医」。IGPIが一気通貫での全方位支援にこだわる理由は、そこにあります。

ナレッジトランスファーできることを強みに

 ゆくゆくは経営に携わりたいとの思いから、公認会計士をキャリアパスポートとし、アドバイザリーの仕事に就きました。ひとつのインダストリーに特定せず、幅広く業界を見ることで、さまざまな経験やナレッジ、スキルを得ようと考えたのです。
 「餅は餅屋」とよくいわれますが、ビジネスにおいては「餅は餅屋だけに焼かせるとろくな餅屋にならない」と思っています。餅を上手く焼く技術と餅屋の経営は別の問題ということです。その業界固有のナレッジだけでは、もはや課題解決できない時代。マネジメントのナレッジがなければ、最適な答えは出ません。そんなときに役立つのが、幅広く業界を見てきた経験です。情報サービス業で成功したことをメーカーでトライしてみたり、エンターテイメント業でうまくいったことを金融業でも活用したり。マネジメントに関するナレッジトランスファーができることが、私の強みだと自負しています。
 ベンチャー企業への投資も事業再生も、どんな案件であれ、「支援してくれてありがとう」と感謝されると、純粋に嬉しく、やりがいになっています。苦境に陥った人々を自らの強みを生かして助ける、現代版『七人の侍』でありたいですね。